「中国残留邦人への支援に関する有識者会議」 2007年5月30日(第3回)傍聴記


 厚労省から資料を基に説明があったが、説明の仕方に問題を感じた。

◆生活保護の問題点について
 
 現在、どんなことが問題となっているのかという、現支援法を改善していくために必要な情報には一切触れられていなかった。生活保護制度を適用していることの問題点、たとえば、高齢化した残留婦人の介護のために子どもたちが同居を望んでも、同居は許されない。多くの婦人や高齢化した孤児たちが、孤独に耐えながら、一人で生活をしなければならないことへの言及は一切ない。病気になった祖母の付き添いとして孫が一ヶ月間泊まりに来ただけでも、孫の生活費としていくら受け取ったのかと、生活保護の担当員が何度も聞きにくる。一時期、一緒に生活しているだけなのにダメだと責められる。それでうつ病になった人もいる。厚労省は、人としての尊厳を大切にした支援策を本気で作るつもりがあるのなら、現制度の「監視」の実態などを、浮き彫りにし、改善するために提示すべきだと思った。長い間、家族とはなれて暮らさざるを得なかった中国残留婦人や孤児が、日本に帰ってきても、家族と一緒に暮らすことさえ制限されている現在の状況があり、それを辛いと思っている帰国者の人たちがたくさんいること厚労省は伝えるべきだと思う。

◆集団訴訟について
 
 2007年1月30日の東京地裁の判決を例に出している。新聞等でも批判されているのに、その判例を出してきたので驚いた。これはあまりにも意図的でひどすぎる!!2006年2月15日の東京地裁、野山判決では、早期帰国義務違反についても、自立支援義務違反についても国に政治的責任があることを認める判決が出ている。それにもかかわらず、厚労省は、最悪である2007年1月30日東京地裁判決を例として出した。

◆中国帰国者に対する4月以降の生活保護の運用

@地域生活支援プログラムの実施について


 対象者は国費帰国者に限られている。国費申請には制限があるので、仕方なく借金をして何とか自費で帰国した残留婦人は対象外となるのだろうか。また、例えば中国残留婦人や孤児に五人の子どもがいて、それぞれに家族がある場合、同伴家族として帰国した一家族だけは対象。呼び寄せ家族として帰ってきたそのほかの四家族は対象外なのか。日本語の学習を、より切実に必要としているのは、所沢センターで学習の機会がまったくなかった呼び寄せ家族ではないだろうか。呼び寄せ家族にも金銭的補償をしてくれといっているのではない。ただ、中国に長期にわたり在留しなければならなかった結果生まれた家族が、親の祖国である日本に帰ってきて日本語の学習の機会も一切なく、日本語ができないまま、ただ働かざるを得ない現在の状況を改善するものであってほしいと思う。また、新支援プログラムについての通知が私費帰国の世帯に届いていたり、国費帰国の生活保護世帯でも届いていないという世帯もある。しかもその中味についても、良く分からないという声が多く出ている。厚労省の説明を聞いていると、「個々のニーズに合わせたプログラムを・・・」など、ものすごく画期的なプログラムのように聞こえたが。新支援策が本当に一人ひとりの帰国者の人生を豊かにするものであってほしいと切に願う。


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